谷川&山縣
動画URL:https://www.youtube.com/embed/PGVrbfeqIhg
「タッグ結成」
水族館の水槽の中から全天球ライブ配信したい!という谷川のワンアイデアから始まったプロジェクトは、開始早々「防水」の壁にぶつかる。ネットで「水中ロボット」に詳しい山縣を発見、いきなりメールで協力を要請したところ、即快諾!ここにライブ配信のプロと防水のプロによる異業種タッグが誕生した。
「水との戦い」
防水対策は、「守りたい所に水が入りさえしなければよい」と考えがちだが、それは素人の考えである。水中に物を沈めると水圧がかかり、外殻にゆがみが発生してしまうのだ。水圧に耐える構造として、よく用いられるのが円筒形と球形だ。サイズや加工の簡単さを考えると円筒形も魅力的だが、圧力による収縮が一様ではなく、特にRICOH THETAのような全天球カメラを中におくと、像のゆがみとして一層顕著に現れてしまう。そこで、水圧を受けてもゆがみが少ない球形構造を採用しつつ、分解性やメンテナンス性を高めた専用の球形耐圧殻を開発した。球形状にするために、3つのOリングを用いた構造で、継ぎ目とフランジの双方からの浸水を防いでいる。大きさは、球形アクリルの中心とRICOH THETAのレンズの位置を重ねる最小サイズである。カメラスタンドは、コンパクトながらヒートシンクを兼ね、視野角の確保と安定運用の両方を満たしている。
「しかもライブ配信」
端末録画であればこれでほぼ終わりである。しかし目標はライブ配信であるため、水深5m ~に設置されたカメラから長時間映像を受信し、なおかつ送電する必要がある。しかも単純化のために水中と地上はLANケーブル1本のみでつなぐ事にこだわった。そこで,PoE パススルーやHDMIエクステンダ、Raspberry Pi などを組み合わせて、水中RICOH THETA から約100m離れた地上ユニットからライブ配信できるシステムを構成した。
「過酷な状況と戦った結果」
出来上がってみると、電力と通信の端子から100mまで離れた場所に全天球カメラを設置できる、汎用性の高いシステムとなった。水中はもとより、高い塔の上など、空中にも設置してみたいと企んでいる。
ガジェットとして、大変な力作であると思います。高画質の水中映像を生でストリーミングできるよう、緻密に作られています。実際に触ってみて、その完成度の高さに審査員一同驚きの声を上げました。制作にかけたであろう労力も高く評価され、受賞の運びとなりました。